写真撮影において、主題を際立たせたり、奥行きのある印象を与えたりするために「ボケ」は非常に有効な表現技法です。
その美しい効果に魅せられ、ご自身でも試してみたいと感じる方もいらっしゃるでしょう。
ボケを意図的に作り出すためには、いくつかの要素が関係していますが、その中でも特に重要なのが「f値」です。
では、このf値がボケの仕組みにどのように関わり、どのように変化をもたらすのでしょうか。
今回は、f値とボケの関係性に焦点を当てて解説します。
目次
ボケとはどのような状態か
写真における「ボケ」とは、ピントが合っていない部分がぼやけて見える現象のことを指します。
レンズを通して被写体にピントを合わせた際、そのピントが合っている範囲は「被写界深度」と呼ばれます。
この被写界深度が、写真全体におけるボケの範囲を決定づける重要な要素となります。
被写界深度が浅いほど、ピントが合っている範囲は狭くなり、それ以外の前景や背景はより大きくぼけます。
逆に、被写界深度が深いと、ピントの合っている範囲が広がり、ボケにくくなります。
ピントが合わない部分がボケとなる
カメラで撮影する際、レンズは特定の距離にある被写体にピントを合わせます。
そのピントが合っている範囲の外側にある被写体は、イメージセンサーやフィルム上で点ではなく、ぼやけた円として写ります。
このぼやけた円が、写真に写る「ボケ」の正体です。
ピントが合っている範囲を外れるほど、この円は大きくなり、より顕著なボケとして認識されます。
被写界深度がボケの範囲を決める
被写界深度は、ピントが合っていると認識される被写体の奥行き範囲を示します。
この範囲が狭い(浅い)ほど、ピントが合っている領域の外側にあるものは大きくぼけるため、ボケを強調したい場合には被写界深度を浅くすることが有効です。
逆に、被写体から背景まで全体にピントを合わせたい場合には、被写界深度を深く設定することが求められます。
f値がボケの仕組みをどう変えるか
写真におけるf値は、レンズの絞りの開きの大きさを表す数値であり、ボケの大きさに直接的な影響を与えます。
一般的に、f値が小さいほど、絞りは大きく開かれ、より多くの光がレンズに入り込みます。
この状態は、被写界深度を浅くする効果があり、結果としてボケが大きくなります。
f値が小さいほどボケは大きくなる
f値が小さくなるほど、レンズはより開放された状態になり、光の取り込み量が増えます。
この開放された状態は、先述の被写界深度を浅くする効果があります。
被写界深度が浅くなると、ピントが合っている範囲が狭まるため、その範囲から外れる前景や背景のボケが大きくなります。
そのため、背景を大きくぼかして被写体を際立たせたい場合には、f値の小さいレンズを選んだり、レンズの絞りを開放に設定したりすることが効果的です。
絞りを開くことでボケを強調する
「絞りを開く」とは、f値を小さく設定することを指します。
例えば、f値を5.6から2.8に、あるいは1.4に小さくしていくと、レンズの絞りはより大きくなり、より多くの光を取り込めるようになります。
この操作により被写界深度はさらに浅くなり、ボケの程度はより顕著になります。
ポートレート撮影などで、被写体だけをくっきりと写し、背景を柔らかくぼかす表現をしたい場合に、この「絞りを開く」という操作がボケを強調する鍵となります。
まとめ
写真におけるボケは、被写界深度というピントが合っている範囲によってその大きさが決まります。
そして、この被写界深度はf値によって大きく左右されます。
f値が小さいほど、つまり絞りを開放にするほど、被写界深度は浅くなり、ボケは大きくなります。
被写体を引き立たせたい、背景を整理したいといった表現をしたい場合には、f値の小さいレンズを選んだり、絞りを開放値に設定したりすることが有効です。
これらの関係性を理解することで、より意図した通りの写真表現が可能になります。




